Bグループに1台の活用

佐藤 幸江 先生(金沢星稜大学 人間科学部 教授)

①それぞれのワークショップで何があったか

ミニセミナーB グループに1台の活用 レポート をご覧ください。

②それぞれの形態で伝えるチカラを育むためには

(例)

「遺伝の規則性を解明してメンデルの無念をはらせ!」

→「高いハードル」と「文脈」をもつ課題

「式や図を使って説明しましょう」

→「考えてみましょう」という発問にとどまらず、説明することまで要求する課題

「明治維新では、どのような人々が、どのような思いや願いで、国の仕組みや社会を変えていったのだろう」

→価値観を問う、「オープンエンド」の課題

1.学習課題の切実感
1人で解決するのは少し難しいなと感じるくらいの課題を与え、グループで壁を乗り越える意識を持たせることが必要です。このような課題を設定するためには、やはりしっかりと教材研究をすることが肝心になります。では、実際にはどんな課題の設定が考えられるのか、いくつか例を挙げます。(右欄参照)

また、課題の設定時に、目的意識・相手意識をきっちりと想定して設定することが大切です。例えば、ある先生の授業では「地域の人に向けて運動会の開催案内のリーフレットをつくる」という課題を設定しました。リーフレットには、「競技中に大技をやるので、見に来てくださいね。」等としっかりと「運動会の見どころ」を書いてアピールしていました。地域の人に対して、「ぜひ来てほしい」という相手意識・目的意識が表れた成果物だったと思います。

2.思考の見える化
例えばある授業で、理科の「虫眼鏡を使って光を集めると焦げて穴が開く」という事象を実験した際、教師のねらいとしては、大きさや明るさと虫眼鏡の焦点距離の関係性や、光エネルギーが熱に変化することを学ばせたいと考えました。しかし、児童は実験の様子を動画で撮影したものの、動画のどこを実験の結果の根拠とすればよいか話し合いがなかなかうまくいきませんでした。「プロセス」を示したい場合には動画、「焦点化」させたい場合には静止画等、教師がそれぞれの使い時をきちんと知った上で指導することが重要です。
また、体育等の演技の振り返りに、タブレットPCで撮影した動画を見直すといった学習は良く行われていますが、中にはただ動画を見ただけで「わかったつもり」になってしまう子どもたちも見受けられます。「『腕』がちゃんと伸びているか?」と見るポイントを伝えたり、「停止」や「スロー再生」でよりしっかりと確認ができるという点に触れたりして、見る視点を明確に示しておくことが子どもたちの学習の効果を高めます。
さらに、グループでの活動について、何を目的として行うのか、はっきりさせておくことが大切です。確認・交流・整理・検討の場面等、目的は様々です。各グループが目的を達成できるよう、違う方向に話がそれているグループがあれば、教師がその話し合いの中に介入していくことも必要だと思います。

3.「個」「グループ」「全体化」の学習の繋がりを意識する
グループに1台だからといって、いきなり協働学習の場を作るのではなく、やはり事前に個の学びを充実させるということが必要です。また、協働学習を行うためには、役割分担をしたり発表の順番を考えたりといったスキルも身に着けておく必要があります。
さらには、単なる交流に終わらせずに、意見の比較や話し合いを活性化させるためにも、先生がより深める発問をすることも必要です。
最終的には振り返りとしてグループの強みを生かして、「もう一人の自分」の役目を友だちにしてもらうことで、メタ認知を促すことも考えられます。

③それぞれの導入形態での環境整備や運用の工夫・配慮点は

学習環境を作るとき、「人」「もの」「こと」の3つが大きく関わってくると思っています。
タブレットPCは「もの」になると思いますが、それを整えていくときに大切になってくるのは、「共有するしくみやルール」だと思っています。タブレットPCの管理のルールを例にすると、「どこに充電器を置いておくか」「誰が使っているのか」を明確にするといった様なことです。
それから、学習効果の観点から言えば、ただグループ学習をしていれば効果があがるというものではありません。「どのような目的でグループ学習を行うのか」を校内研修や学年の先生の中で共通理解を図っておくことが大切です。
また、研修の内容も変えていく必要があるかもしれません。これまでの研修では、実際に授業を見たり、好事例やアイデア・スキルを共有したりする形式が多かったと思います。
これをもう少し工夫して、事後研修会の際に、授業で使ったICT機器を試す機会を作ってみた方が、参加者の先生方に使用した機能の特徴や活用の意義を理解していただけるようになるのではないでしょうか。教師も児童も使わなければ効果も使い方も実感できません。
とにかくチャレンジしてみましょう。

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