実践の内容
算数や社会と同じように、国語も積み上げの学問だと思います。本校では、確実に学習内容を積み上げていけるよう、教科書のどの単元でどの学習内容を扱うのか、計画を立てています。各学年のまとめとして、3学期に1年間の国語の学習として何を身に付けてきたかを単元と関連付けてふりかえらせ、自分たちの学びのメタ認知を促すような指導を行います。これまで紙に書いて整理していましたが、メタ認知をする際の思考ツールとして〈E-VOLVOX〉を使用しました。
授業の流れ
この作業を通して、単元が自分のどのような学びに繋がったのか、メタ認知することができる。後から教師が見ることで、評価やクラスづくりの材料にもなる
※画像はイメージです
①単元ごとの学習内容を整理する
国語の3学期の最後に目次を配り、各単元で学習した内容を整理し書き込む。
〈E-VOLVOX〉の階層分け
第一階層 | ジャンル分け(物語文・説明文・古典) |
第二階層 | 単元名 |
第三階層 | 学習用語や学習内容 |
②学んだ場面を整理する
単元の学習内容ごとに、どんな学びであったかや学びのきっかけとなった児童の発言等、授業の場面を具体的に思い出しながら整理する。
〈E-VOLVOX〉の階層分け
第一階層 | 学習用語・学習内容 |
第二階層 | 学んだ本文の引用 |
第三階層 |
①そこで何を学んだか ②学びのきっかけになった人の名前(関わり) |
授業デザインのポイント
●授業の中で学習内容・学習用語を生きたものとして指導する
物語文であれば、教科書の文章を具体的に取り上げながら「視点の転換」や「行動描写」といった学習内容を指導することで、子どもたちの記憶により残るようになります。学年の最後に学習内容を整理する場面でもたくさんの意見があがるようになります。
●自信・自己肯定感に繋がる
自らの学びをメタ認知することはとても重要です。自分の学んでいることを視覚化していくうちに、子どもたちは学んだことが意外と多いということに気付いていきます。これは子どもたちの自信・自己肯定感に繋がります。
●ツールは「目的の達成に役立つなら使う」というスタンスで
ICTを使うのが目的になってはいけないと思います。私がやりたいことはあくまで「教科の本質をとらえて学びが転移する授業デザイン」ですので、それに役立つなら、ICTを使うというスタンスでいます。
●今後の課題
今回は〈E-VOLVOX〉の階層分けを教師の方で設定しましたが、最終的には階層分けの設定も子どもたち自身でできるように育てていきたいと思います。〈E-VOLVOX〉が各自の思考ツールになっていけば良いと思います。
発表の様子
授業の具体例を挙げての解説に、受講者の先生方は熱心に聞き入っていらっしゃいました。質疑応答では、学びのふりかえりにつなげるための指導について意見の交換がされていました。