実践の内容
算数の立体図形の単元で、7時間計画の最初の2時間の導入の授業です。目標は「立体図形を分類しながら直方体・立方体の性質を捉えることができる」としました。
子どもたちにとって、立体図形の定義は、言葉だけでは理解が難しいです。そこで、各自持ち寄ったお菓子の箱などを使って、子どもたちがより実感を持って理解できるように工夫しました。分類には〈E-VOLVOX〉を使いました。
付けたい力は、次の3点です。
- グループで課題を追求できる力
- 試行錯誤しながら性質を見出す力
- 定義を理解する力
授業の流れ
子どもたちが記入したワークシート
①個人で説明を考える
立体図形が印刷された資料を切り貼りしながら検討し、ワークシートに自分の考えを書く。
円錐など学習の範囲外の立体図形も混ぜ、子どもたちにあえて思考させるようにした
②3人グループで説明を考える
個人の考えをお互いに伝え合い、異なる部分について、実際に立体図形の模型を見ながら確かめ、話し合ってまとめていく。
分類をしている画面。教師は机間指導で子どもたちの思考に揺さぶりをかける問いかけをしたり、他のグループの考えを共有したりする
③立体図形を分類し、整理する
お菓子の箱を1グループ1台配布されたタブレット端末で撮影し、〈E-VOLVOX〉を使って分類する。
階層分けを下記のとおり設定した。
第一階層 | 立体図形の写真 |
第二階層 | 仲間分けの特徴 |
第三階層 | 根拠となる説明 |
授業デザインのポイント
●比較する視点に自ら気づかせる
導入で平面図形(3年生までの既習事項)の性質を学習した経験を振り返り、、比較する視点に子どもたち自身で気付かせるようにしました。
●実際に触れる体験を取り入れる
タブレット端末だけでなく、実際に立体図形の模型を触ったことで立体の感覚に慣れることができました。
●あえて考えさせるしかけで子どもたちの意欲を高める
指導範囲外の円柱・円錐を分類対象に入れたことで、子どもたちの学習の意欲が高まりました。
●個人での思考の時間を設ける
グループで話し合う前に個人の考えをワークシートに書き、考えをまとめさせました。
●アプリケーションを使って思考を可視化する
〈E-VOLVOX〉を使って思考を階層構造にして可視化することで、話し合いの視点を焦点化することに繋がったと思います。授業後の子どもたちへのアンケートからも、情報を整理しながら論理的に思考することができていたということがわかりました。また、全体を俯瞰して比較することができ、立方体・直方体の性質の理解に繋がりました。
●授業の成果
既習事項と学習内容の定着を図ることができたこと、子どもたち自身で追求学習を行うことができたこと、話し合いの中で算数的用語を使えるようになったことが挙げられると思います。
発表の様子
質疑応答では、算数の授業ということもあり、ICTの活用だけでなく学習内容を定着させるための声かけなどについても議論されていました。