実践の内容
従来の時系列に沿ったプレゼンテーションからの脱却を図りたいと思い、この授業を行いました。今回の実践は国語と総合的な学習の時間のクロスカリキュラムになっています。国語の「町の幸福論-コミュニティデザインを考える-」という説明文の題材の最後に、発表する機会があります。そこで、テーマを「学校の幸福論」とし、校長先生にプレゼンテーションするという授業を行いました。子どもたちには1人1台のタブレット端末を使用して、自由にプレゼンテーション用データを作成してもらいます。使用するアプリケーションは子どもたち自身で選んでもらいました。〈E-VOLVOX〉を使用した子どもたちもいました。
【国語】の目標 目的意識を持たせる
- 複数の資料から読み取った情報を、目的に応じて活用することができる。
- 意図を明確に伝えるために、資料を効果的に活用して発表することができる。
【総合】の目標 方法意識・相手意識を持たせる
- ツール選択力:伝える相手を納得させるために有効なツールは何かを考え、根拠を持って選択することができる。
- 伝える極意:相手に伝えるために大切なことが何かを見つけることができる。
- 「プレゼン=伝える」だけでなく、新しいカタチのプレゼンをつくろうとする。
授業の流れ
子どもたちはルーブリックを意識しながら主体的に学習に取り組むことができる
※写真はルーブリックの例(他の授業のもの)です
実際に使うことで、子どもたちは〈E-VOLVOX〉の特徴に気付いていった
※画像はイメージです
ノートもタブレット端末でとる
①説明文「町の幸福論」を読み取る【習得の場面】
教科書に沿って「主体的な教え込み」をする。授業の最初にルーブリックを示し「授業の内容を自分たちの『学校の幸福論』のプレゼンテーションに活かす」ことを確認する。
②プレゼンテーションの内容を考える
タブレット端末をノート代わりにして記録していく。考えたことや調べたことがポートフォリオとして残っていくため、その情報を使いどんなプレゼンテーションにするか考える。
③プレゼンテーション用のデータを作成する
3種類のアプリケーションを使ってプレゼンテーション用のデータを作成し、それぞれのアプリケーションのメリット・デメリットを分析する。
④「プレゼンの極意」をプレゼンテーション用のデータにまとめる
前時までに調べたプレゼンテーションの極意について3種類のアプリケーションを使ってまとめる。
⑤新たなカタチのプレゼンテーションを行う【創造の場面】
夏休みの宿題として、これまでの学習を活かしながら「学校の幸福論」をまとめたデータを作成し、校長先生にプレゼンテーションする。
授業デザインのポイント
●子どもたちが自ら授業を作るしかけ
子どもたちが自ら授業を作ることができれば、学びに向かう力・人間性等を涵養できたといえるのではないかと思います。そのために、単元のゴールと1時間ごとのゴールを明確にしました。具体的には、めあてとルーブリックを子どもたちと一緒に「確実に」作るようにしました。単元の最初に、この学習が終わった後、みんなはどうなっていたらいいのかということを確認します。また、1時間ごとの授業では、今日のめあてとルーブリックを決めました。すると子どもたちは自分たち自身で考えて動くようになっていきます。そのことが、学びに向かう力を養うことに繋がると思います。さらに、他の児童と協力しなければ完成しないという状況に直面し、どうすれば良いかを考え始めます。これは人間性を養うことに繋がっていくと思います。
●プロダクトアウト的な活用でプレゼンテーションへの気付きを生み出す
教育現場が、今社会にあるものに合わせていく、つまりプロダクトアウト的な考え方も大切だと思います。今回は〈E-VOLVOX〉の機能を活かすことで、プレゼンテーションとは、どのように進めていけば良いかを考えることに繋がりました。
発表の様子
子どもたちの日常的なタブレット活用の様子が窺える発表に、受講者の先生方は興味津々といった様子でした。タブレット端末が1人1台あるという環境での授業実践だったことから、機材の整備方法についてもお話がありました。