実践の内容
教科学習の中でプログラミング学習に関連付けた授業ができないかと考え、家庭科の単元「ソーイングとクッキング」の中で実践しました。
この実践では、1学期に学習した知識の定着・まとめをねらいとして、来年の5年生に向けた「家庭科パーフェクトデジタル辞典」の作成を行い、「困った時の対応策」を考え、デジタル辞典としてまとめました。困った時を想定して「~の場合は、~する」と考えることがプログラミングで言う「分岐」にあたるのではないかと考えます。
デジタル辞典の内容の検討には〈E-VOLVOX〉を、作成には〈E-REPORT COMP〉を使用しました。タブレット端末で作成するメリットとしては、タブレットであればどこでも誰でも見ることができることや、表現手段を吟味する力の育成に繋がることが挙げられると思います。
授業の流れ
〈E-VOLVOX〉で整理した内容を見ながらナレーションを入れる児童も
①テーマと担当を決める
デジタル辞典には何が必要か、1学期の授業を振り返りながら話し合う。担当ページの割り振りをする。
②内容を決める
デジタル辞典の内容を3~4人のグループで考える。
思考を整理したり構造化したりできるアプリケーション〈E-VOLVOX〉を使って考える。
階層分けは以下のとおり。
第一階層 |
手順 ※プログラミングで言う「順次」(波縫い等の手順の場合は「反復」を含む) |
第二階層 |
もし~だったら(ポイント・コツ) ※プログラミングで言う「分岐」(例)根菜類だったら・葉菜類だったら / 茹でている野菜に箸が刺さったら・刺さらなかったら |
第三階層 | どうする |
③作成する
デジタルリーフレットなどが作成できるアプリケーション〈E-REPORT COMP〉を使い、〈E-VOLVOX〉で整理した内容を見ながらデジタル辞典を作成する。
④修正して完成
他のグループとデジタル辞典を見せ合って改善点を指摘し合い、修正して完成させる。
授業デザインのポイント
●プログラミング学習に関する内容の扱い
今回、順次・反復・分岐の考え方を取り入れ、授業を行いました。その際、子どもたちには補足としてプログラミングの考え方について説明しました。
デジタル辞典が完成した後に、「分岐の考え方を取り入れることで、来年の5年生が教科書の内容をより正確に行えるようになったかもしれないね」と学習の価値付けをしました。
この家庭科の学習だけでプログラミング的思考が育成されるわけではないので、繰り返し教科学習の中でプログラミングの考え方を関連付け、取り入れていくことが必要だと思います。子どもたち自身が別の場面でも積極的にプログラミングの考え方を活用できるようになることを目指したいと思います。また、実際にプログラミングの体験を行うことで、よりプログラミング学習に深みが出るのではないかと思います。
発表の様子
実際に児童が作成したデジタル辞典が提示され、受講者の先生方は興味深そうにご覧になっていました。質疑応答では、思考の階層化や分岐の指導について、繰り返し考えさせていくことで思考力が鍛えられていくのではないかという議論がされていました。体育でも応用できそうだというアイデアも挙がりました。