実践の内容
自分の気に入った本を紹介するために抽出した情報を整理して表現物(本の帯)を作っていく学習です。紹介するにはしっかりとした読み取りが必要です。さらに、読み取ったことを整理して表現していきます。本の構成要素の整理に〈E-VOLVOX〉を使いました。
授業の流れ
学習課題「選んだ本の情報を整理しよう」
本の売り、登場人物、あらすじ、情景描写など分類しながら情報を整理していく
児童が作成した本の帯
①本物の本の帯に載っている情報をペアで分析し発表する
本物の本の帯の構成要素を分析することで、表現物をより良くしていくというのがねらい。タブレットで本の帯の写真を撮り、手書きで気付いたことを書き込み、電子黒板で発表する。
②紹介したい本の情報を整理
本物の本の帯から読み取った構成要素をもとに、紹介したい本の読みを深めていく。
〈E-VOLVOX〉で構成要素ごとに情報を整理していく。
③帯づくり
整理した情報を使って、帯を作成する。
授業デザインのポイント
思考力・判断力・表現力の向上に向けて授業デザインをしていきました。
●本物を見ること
本物を見て自分で分析・表現していく活動を繰り返すことが、大人になって新たな課題に対応できる思考力・判断力・表現力を身に付けることに繋がります。
●情報の収集・表現の行き来をすること
本の読み取りを通して分かった構成要素を〈E-VOLVOX〉で階層ごとに整理することで、子どもたちは自分に足りていない情報に気付き、再度情報の収集に戻るという様子が見られました。子どもたちが自ら情報の収集と表現を行ったり来たりできる授業デザインにすることで、思考力・判断力・表現力の育成に繋がります。このような授業デザインが可能になることが、デジタルでやっていく良さでもあります。
帯づくりの学習を通して、読み進めるための観点や何回も読み返すという学び方を知ることができたと思います。この学び方は、帯づくり以外でもいろいろな場面で使うことができます。実際に子どもから「この方法、読書感想文にも使える」という声もきかれ、実践の手応えを感じました。
発表の様子
思考の階層化ができる〈E-VOLVOX〉の活用に注目が集まりました。受講者の先生から挙がった「紙に書くのではなく、アプリケーションを使って思考を階層化する良さとしてどのようなことが言えるか?」という質問に対し、広瀬先生は「今何について考えているか、思考を焦点化することができる」「デジタルでは書いたものを簡単に動かせるため、整理がしやすい」「書き出したものを俯瞰して見られるため、情報が埋もれてしまわない」といった点を挙げていらっしゃいました。