ミニセミナーC児童生徒に1人1台での活用
進行役の反田先生より〈E-REPORT COMP〉の送受信機能を使った教材配布やレポート作成の実践をご紹介いただきました。実際に先生のタブレットPCか ら生徒用タブレットPCに教材が転送される様子のデモンストレーションも行われました。
【進行】 | 同志社中学校 | 反田 任 先生 |
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【講師】 |
武蔵大学 岩美町立岩美中学校 |
中橋 雄 先生 岩﨑 有朋 先生 |
反田先生からの実践紹介
〈EREPORT-COMP〉に挿入できるコンテンツ
今回は、児童生徒に1人1台のタブレットPCとiPad用表現活動支援ツール〈E-REPORT COMP〉を使った実践をご紹介します。
実践で使用した〈E-REPORT COMP〉はデジタルレポートが作成できるアプリケーションです。
特徴をあげてみます。
●様々なコンテンツを挿入できる
レポートの中にテキストデータをはじめ、画像・動画・音声等様々なコンテンツを挿入することができる
●テンプレートが用意されている
画像やテキストデータを当てはめるだけで、短時間に形の整ったレポートが作成できる
●送受信機能がある
Wi-Fi環境があれば、送受信機能を使って他のタブレットPCとデータのやり取りをすることができる
私は英語の教員ですので、レポートの中に音声が挿入できることは、指導をする上で大変助かる機能だと感じます。英語の音声を貼っておけば、リスニングやスピーキングの練習に活用できます。加えて、1人1台のタブレットPCがある環境であれば、③の送受信機能が授業の中でとても活きてくると思います。それでは、具体的な実践例を2つご紹介したいと思います。
先生方から生徒への副教材配布
※教材イメージ
中学3年生の英語の副教材の実践事例です。教科書の内容以外に生徒に提示したい内容を盛り込んだ副教材を〈E-REPORT COMP〉を使って作成しました。テンプレートを使い、見出し、画像や動画、英語の説明文を入れています。
活用の方法としては、生徒一人ひとりのタブレットPCに副教材を配布。英語の説明文を読み上げたり、生徒一人ひとりが英語のスピーチの動画を再生して発音を確かめたりします。
【デモンストレーション】
①先生のタブレットPCから副教材を送信する
データの選択画面から送りたい副教材のデータを選択し、メニューの「送信」ボタンをタップします。送信先のタブレットPCを選ぶと送信が開始されます。
②生徒のタブレットPCでレポートを受信する
送信したデータは「レポート受信」画面に表示されており、選択すると自分のiPadにダウンロードされます。これで画像やテキストデータが貼りこまれた教材が生徒全員の手元にある環境で、授業を進めることができます。
生徒同士で成果物を送り合う
※授業の流れ
中学2年生の英語で、生徒が成果物のデータをお互いのタブレットPC に送り合う活用をしています。授業の流れとしては、教材に関わる6つのテーマを設定し、1テーマにつき3名の生徒が担当して調べ学習を行い、レポートにまとめます。その後、テーマが重ならないように新しい3人組のグループに分かれ、1つのレポートにまとめて発表をする活動をしました。いわゆるジグソー的な学習です。
調べ学習とまとめのレポートに〈E-REPORT COMP〉を使用しました。発表をするグループの3名は、それぞれ自分のテーマについて調べたレポートを持っています。それらを送受信機能で送り合い、1つのレポートにまとめます。3つの内容をいかにまとめるのか、体裁はどのように整えるのか等を話し合って決めさせる中で、生徒の表現力を高めることができると思います。
【デモンストレーション】
①送受信機能でそれぞれの生徒が他のメンバーのタブレットPCにデータを送る。
それぞれの生徒がレポートのデータの「送信」「受信」を行う。
②3つのばらばらのレポートを結合する
それぞれが作ったレポートを1 つのレポートとして結合する。お互いのレポートを確認し、内容の検討を行う。
③表紙を結合する
話し合いによってまとまった最終版のプレゼンデータに、表紙を結合して完成。
※本実践で使われたタブレットPCはiPadです。
講師の先生方から
●岩﨑先生
〈E-REPORT COMP〉の機能の中に、同じ場所に写真を複数枚入れ込める機能があります。もし生徒1人1台のタブレットPC環境があれば、理科の資料をいくつか入れておくだけで、各自自習ができると思います。
また、動画が貼り付けられるという機能は様々な活用が考えられます。実験の操作について、生徒は1回の説明ではなかなか理解できないこともあります。手元のタブレットPCで繰り返し見て確認するための補助教材として使うこともできるのではないかと思います。
また、これは体育の先生からのアイデアなのですが、マット運動の技を動画で記録し、それを見てコツを文章化するということにも活用できそうです。出来上がったデジタルレポートの中からいいものを送り合って、その年の「ベスト盤」として記録していく。後輩たちは、それらの記録を見ることで、さらにいい演技を作っていこうというモチベーションを持てるようになります。他の教科でも、特に実技系でしたら、ノウハウを言葉にして後輩に伝えていく活動での活用ができると思います。
それから、通信機能が使えるというのは何よりの強みだと思いますし、1人1台ずつあれば一人ひとりの生徒のペースで学べるところも良さかと思っています。
●中橋先生
生徒に1人1台のタブレットPC環境があり、しっかりと表現された成果物が転送ができることは、子どもたちの相互作業を促すことに繋がると思います。 さらに、完成度の高いデジタルレポートをグループで作るには、ただ作らせるだけではできません。そこには、反田先生のアドバイスがあったのだと思います。アドバイスをするためには、生徒の思考がどう働いているかということを把握する必要があります。タブレットPCが生徒に1人1台あれば、教師側で生徒の画面をモニタリングすることができるので、そこでもこの活用形態の良さが出ていたと感じました。