実践発表
理科 中学3年 「環境とエネルギー」
岩崎 有朋先生 (岩美町立岩美中学校)
実践の概要
私たちは、あたりまえのように電気を得ていますが、「持続可能な社会をつくっていく」ために将来社会の中心になる子ども達に「自分事」としてエネルギー資源のことを考えさせたいと思いました。そこで、「わが町に誘致するなら火力発電か水力発電か」というテーマを与え、討論することにしました。
実践の内容
①ペアで調べる
タブレット端末は、各班に2台ずつ用意しペアで相談しながらそれぞれの発電方法の長所と短所をソフトのデジタル付せん紙機能で書き出す。
②派ごとで作戦会議をする
水力発電派と火力発電派に分かれてディスカッションのための作戦会議をする。
班の中で2人ずつに分かれ、派ごとに集まって相手を説き伏せるための考えを情報交換する。
ICTはここで使う!
それぞれの班からタブレットパソコンを持ち寄り、デジタル付せん紙に意見を書き込む。
班で同じワークシートを共有しているので、リアルタイムで相手の派閥のデジタル付せん紙が見られるようになっているため、相手の出方を見ながら作戦を立てることができます。
③もう一度元の班に戻り、ディスカッションをする
タブレットパソコンに書き込んだ意見をお互いに見せ合いながら確認をする。子どもたちからは「水力発電では自分たちが住んでいるところが水没してしまう」「石油を運べるような大きな港がない」などの意見が聞かれ、自分たちの日常と繋げて考えることができていた様子であった。
ICT活用のポイント
デジタル付せん紙の一覧機能で、各班の水力発電の長所だけを集めて一斉提示したり、拡大表示が簡単にできますので問題点を集約したり共有が簡単にできます。
デジタル付せん紙は、学習課題を与えたときに、一斉に書き込みができるので"発想の拡散"ということでは非常に有効です。「これも加えた方が良いよ」とどんどん付せんが増えていきます。
付せんが増えたら、付せん機能の分類表示で意見収束をします。これで「私の付せんは誰かの役に立つ」「誰かの付せんで考えが良くなる」という経験をしてほしいと思います。これをスムーズに効率よくするのがICTだと思います。
授業デザインのポイント
理科でも討論の力は必要
理科の場合は、理科的な考え・言葉を使って表現することが必要です。学習指導要領でも「根拠を示しながら」とありますが、相手にわかってもらう、納得してもらうには自分の意見の根拠を示す必要があります。討論する場面を設定することで、根拠を示して説明する力につながります。これが最終的には理科的な考えにつながると思います。