趣旨説明

放送大学の中川 一史先生より本セミナーの趣旨をご説明いただきました。

そもそもタブレット端末の特徴とは?

  • (文章などを)読む
  • (映像などを)見る
  • (声・音や音楽を)聞く
  • (文字や文章を)打つ・書く
  • (ラインなどを)引く
    (図表や写真などの上や横に)書き込む
  • 撮る
  • 動かす
  • 大きくする
  • 見せる
  • (デジタルテレビや友達のタブレットに)送る
  • 保存する

タブレット端末でできること
※赤字はデジタルだからこそと言える点

初めにタブレット端末の特徴を挙げると、まず「Personal」であることが考えられます。例えば、実物投影機や電子黒板などは通常あっても学級に1台です。それに対し、タブレット端末はもっとたくさん導入することもできますから、「個別に使える」機器がやってきたということになりどのように使うかを検討する必要が出てくるように思います。

それから「Compact」であること。確かにノートパソコンでも持ち出せますが、日常的に持ち出すかというとなかなかしないと思います。それに比べタブレット端末はぐっと持ち出しやすくなります。だから教室にも持っていけるし、さらには学校の外へ出て使うということも可能になってきます。

3つめに「All in one」であること。これは様々な「できること」が含まれているということです。具体的にタブレットでできることを11項目挙げてみました(図参照)。その中でも映像を見る、音声を聞くといった動的なツールならではの活用が組み合わさった時、アナログではなく、タブレット端末を活用するメリットがあると言えるのではないでしょうか。

タブレット端末導入パターン

自治体ごとにどのような整備をされているか見ると、いくつかのパターンにわけられると思います。本日のセミナーでは、主に教師が活用するパターン、グループに1台活用するパターン、児童生徒1人1台活用するパターンでわかれて授業について考えます。これは皆さんの学校でどのような導入をされるかによって、それぞれ考えなければならないことが違うからです。

タブレット端末導入パターン

まず、主に教師が活用する場合ですが、この形態の良いところは、今までの実物投影機などと同じ発想で使えるので、教師のコントロール下で活用可能であるということです。例えば、ケーブルのない実物投影機としてであったり、児童生徒に渡して発表・説明時に操作させたり、あるいは授業場面の記録として板書を撮ったりすることもできます。

次に、グループに1台という形態ですが、様々な導入パターンを挙げた中で一番多いケースだと考えられます。この形態では、発表や話し合い等の活動において、説得するための根拠・資料として写真や動画を提示したり、協働での意見整理・協働制作したりといった活動が充分にできます。タブレットがグループで1台あるとそれが話し合いや協働制作の際の「作戦基地」になります。

最後に、児童生徒1人1台の場合。こちらは個に応じた学習の場面で利用することができます。例えば、1人1人が自分の考えを整理してプレゼンテーションにまとめたものを、全体に投影するのではなく立ち上がってお互いに見せ合うというようなこともできますし、今まで紙にまとめていたようなレポート等も1人1台あることで、タブレットでまとめることができるようになります。デジタルになることで、写真を動的に活用する等の表現方法も可能になります。

アナログとの役割分担

このようにタブレット端末はいろいろと使えますが、やっぱりアナログとの役割分担を考えなくてはいけません。なんでもかんでもタブレット端末にせず、特性を活かすことが大切です。先ほど挙げた動的なツールの特性を活用したり、授業支援ソフト等を利用して子どもたちのノートを転送するなど、アナログよりもオープンな特性を持っていますのでそうした特性を取り入れたりするということも含めてタブレット端末の有効な活用方法を考えていくことが必要です。導入形態のちがいで活用のイメージやアプローチの仕方も違うと思います。このセミナーでそういったところを体験していただければと思います。

中川 一史

放送大学 教育支援センター 教授

略歴  横浜市の小学校教諭
金沢大学教育実践総合センター助教授
メディア教育開発センター教授
2009年4月より放送大学教授
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